第六感
いつも通り朝起きて、いつも通り出社して、いつも通り準備して、いつも通り勉強してたんだけど
ふと、僕の中で一瞬彼女が消えた感覚があった。
多分最近、忙しくて疲れてるので平日は電話を休んでたり、割と可愛いお客さんに好かれたりして、「別れる」ってのをそこそこ具体的に考えてたからではあるんだろうな。
実際お互い忙しくてお互いに気遣えない場面がかなり増えて、その上いつも電話だから尚更無神経になりがちだったんだよね。
一瞬彼女の存在が消えて、サー…って血の気が引くのを感じた。
別れる別れないのことを考えてる時点で、当然彼女がそばから居なくなることくらい想像してたつもりだったんだけど、考えが甘すぎたのがわかった。
というか今思うと、元カノや大切な人を手放した経験があるんだから分かれよって感じ。
すごいね、彼女がいなくなるって。
ここ2年半、絶対的な味方がいてくれたことのありがたみ、それにどれだけ支えられ、救われてきたか。
そしてその支えがフッと消えて、堰き止められてた言いようのない不安と孤独と悲しみが雪崩のように押し寄せて、その一瞬だけで僕の心は見事に押し潰されてた。
いや〜〜〜〜〜入社してここ数ヶ月ずっとそんなこと考えてたのに、なんだろうねこの感覚。
自分の愚かさと不甲斐なさと無責任さを痛感して、「あぁ、別れずに悩んでてよかった」なんて女々しいことを思ってしまう自分がなんとも虚しい。
正直今すぐ彼女に会いに行きたい、なんて思っているが、生憎労働という生命線を一瞬の衝動でぶった切る(しかも別にメリットはない)ほど僕は青春男ではないし、彼女とて今は死ぬほど忙しいらしいのでこれ以上自分勝手なことはできない。
そもそもこんな人間が彼氏でいいのか、どんな顔して彼女に会えばいいのか、とかもかなり悩んでるけど、それでもちょっと「今の彼女と本当に幸せになれるのか。今彼女を手放せば、もっといい彼女ができるんじゃないか」なんて悩んでるのも事実であったりする。認めよう、僕は傲慢が過ぎる。
現在11月、彼女がひと段落して落ち着くまではあと2〜3ヶ月はかかるだろうと僕は見越しているが、今僕は人生のかなり大きな岐路の一つに直面している気がする。そしてこの選択は、どちらを選んでも大なり小なり後悔は存在する、というのも薄々感じてもいる。
ただ、たった一瞬、僕の中でふっと彼女の存在が消えたあの感覚。僕は神も仏も閻魔大王も信じないが、第六感とでも言うべきあの感覚だけは参考に値すると思っている。
いずれにせよ、僕はもう一度自らを見直した方がいい。そんな時期に差し掛かったということは確かなようである。